大河さんによる本と雑誌の紹介


/新規購入/技術書/戦術書/トレーニング/本その他/雑誌/終了/


本と雑誌の紹介です。簡単な評価をしてみました。参考にして下さい。
誤解を怖れず大胆な評価を行っていますが,筋力トレーニングなど全く解らない分野については評価できないとしてしています。

★★★ 是非読むべきだ
★★ 必ず得るものがある
時間があれば
●● 評価できない

おおまかに技術と戦術に分類しましたが,分類が難しい本が大半で特に初心者向けの場合,片方だけ扱ったものはありません。どちらに重点を置いて書かれたかを私なりの判断で行い分類しました。ですから極端に恣意的な分類になったようですが適当な方法を思い付きませんでした。あるいは初心者,中級者,上級者と分類した方が良かったかもしれません。

新規購入    /TOP/END/

貸し出していた本が返却されましたので新規購入なみに紹介します。

104 ★★★ キング・ペレ栄光の軌跡/ワールドクラス・サッカー入門
(1) イレブン編集部
(2) 日刊スポーツ出版社
(3) 1975年6月10日
(4) 850円
(5)
雑誌「イレブン」75年6月増刊号として発行された本書は私の宝物。1.ボール・ジャグリング, 2.ドリブル, 3.シュート, 4.トラッピング, 5.ヘディング, 6.パッシング, 7.ペナルティキックとフリーキック, 8.ゴールキーピング, 9.身体作りの各章でペレの技術を伝える。今では小学生でもやっているペレが得意とする胸のパスは当時としては驚きだった。写真のピントが甘い、文章に比べて写真のスペースが少ないなどの不満はあるがこの時代の出版物としてはやむを得ない。
ペレはデフェンダと対峙したとき、からだをボールにかぶさるように前傾させ、ボールを開いた両足の中央に置いている。つまり、相手にも取られにくいが自分も動きにくい姿勢である。そのかわし方もクライフなどのスピードの豊かな選手に比べると鈍重にさえ見えることがある。正直いってこれでかわせるのかと思うほどだ。本書でペレの秘密を探ろうとしたが私の知識では不可能だった。当然だ。
技術解説とは別に少年時代から引退までを紹介したグラビアも本書の楽しみの1つだ。バッキンニョというチームにいた14才のペレ、黒い真珠といわれた全盛時代のペレ、いずれも今となっては貴重な写真ばかりだ。72年5月26日、対全日本戦でみせた2本のシュート、私はもちろんTVの実況放送で見ただけだが巧緻性という観点からみたベストスリーのうちの2本、の分解写真を収録していることも宝物の理由の1つだ。
イレブンはいつ廃刊?になったのか記憶にないがサッカーマガジンとともにサッカーの発展に果たした役割を忘れるべきでなかろう。イレブン編集部に多謝。

105 ★★ ガスコインのスキル・サッカー
(1) ポール・ガスコイン著後藤新弥訳
(2) 日刊スポーツ出版社
(3) 1995年1月10日
(4) 1500円
(5) ISBN4-8207-1079-6 C2034
少年を対象とした入門書。食事や用具までも含めた幅広いアドバイスがガッツァの独特の語り口あるいは切り口で語られている。技術についてはテクニッシャンらしく細かい部分まで丁寧に語られている。悪くない。
ガッツァが少年少女を指導するビデオ「ワールド・サッカー・スーパー・テクニック」を観て本書を読むと一層効果がある。


106 ★★ 木村和司の攻撃サッカー「背番号10のプレー」
(1) 木村 和司
(2) 池田書店
(3) 1995年11月30日
(4) 1300円
(5) ISBN4-262-16243-5
攻撃の中心となって決定的なラストパスを出す。ドリブルでペナルティエリアに入って強烈なシュートを放つ。味方から絶大な信頼を受け、相手の読みの逆をつくパスやドリブルで切り崩して行く。これが背番号10のプレーであり、本書はそのための技術に重点を置いた入門書。1つの連携プレーをメインスタンドとグランドの両方に視点を置いて解説している。グランドでの視点、つまり木村和司の視点で捕らえた連携プレーの解説という新機軸は評価できるが効果のほどは?背番号10だけでなくGKを除く全てのプレーヤが読んでも得るものはある。特に本文よりも導入部、まとめのほうが木村和司の生の意見が書かれており、こっちの方が面白い。この部分の頁が少ないのが残念。


202 ★★ イタリア・セリエA最新サッカーマニュアル
(1) ジュリアーノ・ジョヴェッティ&ブルーノ・ピッツル
(2) 株式会社学習研究社
(3) 1994年12月20日発行
(4) 2300円
(5) ISBN4-05-400451-2
サッカーを愛する少年たちとそのコーチのために生まれたサッカーの総合書。A4サイズ240頁の全てがイラストというユニークな本。単なる技術の紹介に止まらず、その技術を身につけるための各種トレーニングを示したのは評価できるが、問題はイラスト。伝え難い動きを流線で示すなど工夫はしているがどうも好きになれない。システムとポジションについてはアリゴ・サッキ時代のACミランのフォーメーションを紹介するなどレベルは高い?
率直にいって評価は難しい。まあ必ず得るものがあるとしたが.....

811 ★★★ LITTI ピエール・リトバルスキー自伝
(1) ピエール・リトバルスキー
(2) 株式会社同朋舎出版
(3) 1994年10月31日
(4) 1900円
(5) ISBN4-8104-2089-2
「サッカーがうまくなる秘訣は名選手の自伝を読むことだ」といったのはペレ?ではなかったか。幼年時代からジェフ市原までのリッティの自伝。チームの道化師などと揶揄されることの多かったリッティが素直にプロ選手のネガティブな面をさらけ出している。特に代表入りへの不安、ベンチウォーマとしての苛立ち、先輩選手への対応などの率直な意見が印象に残った。高校生以上なら是非。


812 ★★ ロベルト・バッジョ 仏とともに闘った貴公子
(1) アントメロ・バジーニ
(2) 株式会社鹿砦社(ろくさいしゃ)
(3) 1994年12月10日
(4) 1600円
(5) ISBN4-8463-0054-4
原題は「PEAPLE CALLED HIM LITTLE BUZDA」。西欧人には珍しい仏教徒であるバッジョの伝記。当然,宗教に強い関心を持つ西欧人の一人だから宗教に関する記述もそれなりにあるが、ケガの多い彼がグランドの内外でいかに闘ったのか良くわかる本。
少年時代、青年時代、デビュー、けが、監督やクラブの会長との確執とフットボーラーの伝記に必要なことは全て描かれている。バッジョのファンなら是非。

831 ★★ 狂気の左サイドバック
(1) 一志 治夫(いっし はるお)
(2) 株式会社小学館
(3) 1994年9月20日
(4) 1200円
(5) ISBN4-09-379481-2 C0095
日本サッカーファンにとって忘れることのできない93年のドーハの悲劇。本書はドーハで左サイドバックで出場するはずだった都並敏史を中心に全日本サッカーチームのW杯予選の軌跡を描いた良書。副題は日の丸サッカーはなぜ敗れたかとなっているが全編甘いと思えるほどのロマンを謳いあげており副題は不適当?たしかにこの時期の都並のプレーには華があった。うまかった。
浪花節にならない程度の甘さ。ロマンを謳いあげるような本にろくなものはないが本書は別。



技術書    /
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101 ★★★ ラモス瑠偉のサッカーコミックレッスン
(1) ストライカー特別編集
(2) 学習研究社
(3) 1993年11月15日初版
(4) 600円
(5) T1062618980609
ボールコントロール, パス, ドリブル, シュート, パスワーク, ヘッディング, トラップ&フェイント, ドリブル突破, ミドルパス, アウトサイドのカーブキック, アウトサイドのスルーパス, センタリング, ヒールパス, ロビング, ゲームプランニングを8ページ20回のコミックで構成している。
平易だが,随所にラモスならではの語り口(哲学というべきか)があり,小中学生のみならず高校生でも充分に楽しめる内容になっている。
是非手元に置いておきたい良書。

102 ★ Jリーグプレーヤーをめざす!サッカー基礎編
(1) 日産F.C.横浜マリノス編著
(2) 株式会社池田書店
(3) 1993年6月10日初版
(4) 1200円
(5) ISBN4-262-16241-9
キック・ドリブル・トラップ・ヘディングなどの基本技術全般について練習方法とコーチ法をマリノスの選手をデモンストレータにして説明してある。
日産サッカースクールの教則本だが,中高校生あるいは中高校生の指導者のための本であろう。誤解を恐れずに言えば日本人が書く典型的なサッカーの教則本で,過不足はないがもう一つ何かが足りない。言っていることに間違いはないのだが...。本当にこの内容でJリーグプレーヤーをめざせるのか疑問。

103 ★★ サッカー・スキル
(1) デーブ・スパーデンス(英国FA公認コーチ,フリーライタ)
(2) 日刊スポーツ出版社
(3) 1981年12月31日初版
(4) 1010円(平成5年2月20日第6刷)
(5) ISBN4-8172-0053-7 C0075
サッカーで一番楽しいのは相手の意表をついたプレーだ。そんなテクニックを身につけたい人たちにこの本を読んで,身につけてもらいたい。と表紙の見開きで筆者が述べている。
1.ドリブル, 2.トラップ, 3.シュート,パス, 4.ジャグリング, 5.テクニック上達法の各章でペレやクライフなど世界をリードしてきたプレーヤの得意技を分解写真で説明している。内容は悪くないが肝心な分解写真の枚数が少なすぎるので動きがわかりずらく価値を大幅に下げている。
値段が安いから買っても損はしない(?)。初版から相当長い時間が経過しているが96年春には丸善で購入できた。
また,デニス・ローあるいはジァンニ・リベラなど60年から70年代活躍した選手についても述べてあるので中年プレーヤには別の楽しみ方もある。

111 ★★ 理想のサッカー
(1) ゲルハルト・バウアー(西独サッカー協会公認コーチ)軍司貞則訳
(2) 日刊スポーツ出版社
(3) 1982年12月31日初版
(4) 1010円(87年2月20日第7刷)
(5) ISBN4-8172-0055-3 C0075
原題は初心者からプロまでの完成なるサッカー。1.テクニックとその基本練習, 2.サッカーの練習・トレーニング方法における原則, 3.戦術, 4.サッカーのシステムの4つの章から構成されている。戦術についても書かれているが基本的なもので,技術についてみるべきものが多いので技術書に分類した。
各基本技術にはそのテクニックの解説,典型的な誤ちチェック,習熟度に応じたテクニックの練習など自習書としてよくできている。本文の一例を紹介しよう。ボールをドリブルする時の走るリズムが不規則だとスピードがでない。矯正するにはゆっくり走りながら二歩目ごとにボールに触れるような練習,これを左右両足で行う。あるいは三歩目ごとに左右の足で交互にボールに触る。そしてドリブルのスピードを少しづつあげていく。
原書はサッカーで飯を食おうという選手や指導者に向けて書かれたというがこの本は中高校生向きに仕立て直されている。出版から長い時間が経っているがあまり古さは感じられない。

161 ★★★ ゴールキーパー入門
(1) ジョン・バチスタ・ロペス・アベリア(元鹿島アントラーズ・ゴールキーパコーチ)
(2) ビクターエンタテインメント株式会社
(3) 1996年4月25日初版
(4) 2600円
(5) ISBN4-89389-110-3 C0075
基本, トレーニング, 基礎体力作り,実戦の4つの章から構成されている。
豊富な写真とプロチームのコーチらしい説明のついた良書。
中高校生向き。

201 ★★★ 少年サッカーの指導
(1) 加藤 久(早稲田大学専任講師,元全日本代表)
(2) 株式会社雪書房
(3) 1990年10月30日初版
(4) 1200円
(5) ISBN4-946379-11-8 C0075
1.少年指導の理念(あり方), 2.少年指導のポイント, 3.基本技術の指導, 4.少年の技術・判断力を伸ばす練習法, 5.少年サッカーの現状, 6.少年の健康管理の6つの章から構成されている。170頁しかないが少年サッカーの指導の全てを網羅している。発刊は古いが内容は少しも古臭さを感じさせない良書。
仲良くするだけがチームワークではないあるいはできない子どもに対する配慮は必要だなど筆者ならではと思わす1章と2章は是非眼をとおすべきである。

221 ★★ サッカー入門
(1) 加藤 久(早稲田大学専任講師,元全日本代表)
(2) 金園社
(3) 1990年6月1日初版
(4) 700円
(5) ISBN4-321-23811-0 C0075
少年を対象にした技術書だが内容は相当に高度。小学5年生から中学2年生までOK。
とはいっても写真と図を豊富に使っているので,わかりやすい。

22X ★★ 最新サッカー入門
(1) 加藤 久(早稲田大学専任講師,元全日本代表)
(2) 小学館
(3) 1993年8月1日初版
(4) 700円
(5) ISBN4-321-23811-0 C0075
少年を対象にした技術書。難易度は普通。小学3年生から小学6年生までOK。
漫画と写真を豊富に使っていることや文章がやさしいので小学中学年でも楽しめる。
小学高学年でレベルの高い子には物足りないかもしれない。

231 ★★ 目でみるサッカー教室
(1) 堀田 哲爾(元清水FC代表)
(2) 株式会社永岡書店
(3) 1986年8月7日7版
(4) 580円
(5) ISBN4-522-01033-8 C0075
少し古くなったが少年サッカーに造詣の深い筆者が小学生を対象にして表した技術書。
チーム技術についても多くのページをさいているのが特徴か。クラマー世代の記念塔。

23X ★★★ 少年のためのサッカー入門
(1) 中塚 義実(筑波大学附属高校教論)
(2) 株式会社永岡書店
(3) 1993年10月10日初版
(4) 880円
(5) ISBN4-522-27034-8 C8075
新しい技術や戦術が取り入れられた少年を対象にした技術書。小学5年生から中学2年生までOK。
1961年生まれの若い筆者の力作。数ある少年サッカーの指導書の中でもひときわ目立つ良書。
ウィル・クーバーの影響を受けた世代初の著書?

23X ★★ 奥寺靖彦の楽しいサッカー
(1) 奥寺 靖彦(元プロサッカー選手,全日本代表)
(2) 株式会社小峰書店
(3) 1989年12月1日初版
(4) 980円
(5) ISBN4-338-08503-7 C8375
ける,止める,運ぶという3つの基本技術だけについて解説したユニークな少年のための技術書。小学5年生から中学2年生までOK。
けるについては多くの頁をさいており,同じ動作を前後の写真で示すなどの工夫がみられる。特にインパクトの瞬間を素足で示した写真は大きな効果が期待できる。


戦術書    /TOP/END/

301 ★★★ ワールドサッカーの戦術
(1) 瀧井 敏郎(元日本オリンピック代表,全日本学生選抜などのコーチ)
(2) 株式会社ベースボール・マガジン社
(3) 1995年9月4日第1版
(4) 2800円
(5) ISBN4-583-03235-8 C2075
1.理論が見えてこない, 2.ゲームを見る, 3.戦略史から学ぶ, 4.プレーの原則, 5.戦略的計画, 6.モビリティVSバランス, 7.コンパクト・サッカー, 8.ゾーン・マーキングの傾斜, 9.ゾーン・マーキング, 10.ゾーン・プレス/ボールとスペースの支配, 11.エピローグの11つの章から構成されている。
現代サッカーの戦術について長期間研究してきた筆者の集大成ともいえる本書は筆者の望む通りサッカーの世界を共有し広げるためのディスカッションの材料となるであろう。
第1章とびらにある90年トヨタカップにおけるACミランのゾーンプレスを示した写真をみるだけでも本書を購入する価値がある。指導者だけでなく高校生以上の選手なら戦術を語る前に必ず読まなければならない一書。

302 ★★★ 闘うサッカー理論
(1) 湯浅 健二(元読売サッカークラブコーチ)
(2) 株式会社三交社
(3) 1995年10月20日初版
(4) 2800円
(5) ISBN4-87919-030-6 C3075
サブタイトルが勝つための戦術とチームマネージメント。サッカーの基本的な理解, 個人戦術, グループ戦術, チーム戦術, ゲーム戦術, トレイニングの原則, チームマネージメント(監督論)の7つの章から構成されている。
センタリングは走り込む味方にあわせるのが原則だあるいはゴールラインまで切れこむ必要はないなど新しい切り口で具体的に現代のサッカーに必要な戦術を提案している。本書がただの戦術書に終わらなかったのが最終章のチームマネージメント(監督論)で,パーソナリティを監督の最も重要な資質としてあげ,それをベースにした選手の扱いについて述べている。
高校生以上であれば初心者でも。慣れた人でも新しい発見が期待できる良書。

303 ★★ COACHING ハンスオフトのサッカー学
(1) ハンス・オフト(ジュビロ磐田監督)
(2) 株式会社小学館
(3) 1994年12月1日初版
(4) 1500円
(5) ISBN4-09-102313-4
1.コーチ論, 2.戦術論, 3.技術論の3つの章から構成されている。
表紙裏に次のような言葉がある。コーチングとは,ゲームの中で状況を伝える指示の声を意味する。1つの声によってチーム全体が同じピクチャーを描き,何をするべきかを同時に判断しなければならない。そして,何よりも大切なのは,その声を正確に聞き取り,正しく理解することである。
アイ・コンタクト,トライアングルなど筆者の提唱は何も新しくはなかったが,全日本での成功は先の言葉の中にあるのだろう。
各章とも基本的な事柄について述べてあるので高校生でも充分読めるが理解は難しいかもしれない。

304 ★★★ ワールドクラスのサッカー
(1) エリック・バッテイ編/牛木 素吉郎/木佐 貫至/共訳
(2) 株式会社ベースボール・マガジン社
(3) 1983年10月31日発行
(4) 650円
サッカー・マガジン・イラストレイテッド83年秋季号(増刊号)として発行された戦術書で,著者は60年から80年にかけての一流の監督あるいは選手。一人あたり平均A4版8頁で,しかも図や写真が多く挿入されているから各著者の戦術のエッセンスを知る程度だが,今読んでも充分歯応えのある内容だ。
代表的な著者は次の通り。この他に若い選手を対象としたトレーニングの紹介がある。

ロン・グリーンウッド イングランド代表,ウエスト・ハムU監督
ヘネス・バイスバイラー ボルシア,バルセロナ,1FCケルン監督
デーブ・セクストン イングランド代表,マンチェスターU監督
ピーター・シルトン イングランド代表,サザンプトンGK
ラヨス・バロティ ハンガリー代表監督
バーツラフ・イエジェック チェコスロバキア代表監督
リヌス・ミケルス オランダ代表,アヤックス,バルセロナ,1FCケルン監督

リヌス・ミケルスのプレッシングはレベルが高すぎて我々の参考になりそうもないが,ヘネス・バイスバイラーが唱えている攻撃サッカーへの提唱などはふだんの練習に反映できそう。このくらい古いと歴史的な価値しかないと判断されがちだが,現在の視点から見ても戦術書として1級の資料。
難点は入手が困難なこと。昔のサッカー・マガジンは意欲的な企画を次々とうっていた。この後,発行されたはずの83年(84年?)冬季号ジョージ与那城の楽しいサッカーも良さそう。予定通り発行されたかどうかはっきりしないが買いそびれてしまった。

321 ★★ Jリーグプレーヤーをめざす!サッカー戦術編
(1) 日産F.C.横浜マリノス編著
(2) 株式会社池田書店
(3) 1994年4月8日初版
(4) 1300円
(5) ISBN4-262-16242-7
1対1や3対2程度の比較的小人数での戦術トレーニングに重点を置いた指導書あるいは自習書。1.戦術の基礎常識, 2.1対1の攻撃・守備戦術, 3.2対1の攻撃・守備戦術, 4.3対2の攻撃・守備戦術, 5.チーム戦術, 6.ポジショナルプレー, 7.プレーと技術/戦術の7つの章から構成されている。
戦術の基本を学ぶあるいは指導するには格好の一冊。6章はユニーク。7章で枚数は少ないがクロスステップに代表されるゴールキーパーの横への動きについて取り上げているのは評価できる。従来の技術書がおろそかにした部分であり,何でもダイビングという風潮が改まると良いのだが.....。
対象とする年代がはっきりしないが中高校生であろう。

331 ★★★ ゲームで覚えるサッカー
(1) ヴォルフガング・コッホ,ヴィンフリート・メラー 岸本肇訳
(2) 株式会社あゆみ出版
(3) 1993年5月10日初版
(4) 1550円
(5) ISBN4-7519-1580-0 C0037
原題を直訳するとトレーニングのためのゲーム形態集でこのままの方が良かったのではないか。1.ゴールゲーム, 2.スペースへの走り込みとマークの練習, 3.遊び感覚のミニ・サッカーの3つの章から構成されている。
旧東ドイツサッカー協会が版権を保有している15才から18才を対象にしたゲーム形式のトレーニングを106例紹介している。各ゲームは52.ドリブルによる相手かく乱を強制する4対2など実戦的な内容で,ねらい,考え方,規則,人数,フィールド,時間,実施回数,応用が細かく指示されている。
翻訳者の熱意,というより使命感が良く伝わる良書で小学生の指導にも参考になる。

401 ★★ 実戦サッカー
(1) 日本サッカー協会コーチャーズ・アソシェーション
(2) 株式会社大修館書店
(3) 1980年12月20日初版
(4) 1339円
(5) ISBN4-469-16209-4 C3075
Q&A(質問と回答を併記する)形式で, 1.基礎技術編, 2.作戦・戦術編, 3.トレーニング編, 4.チーム管理編の4つの章で構成している。
内容は24.サイドチェンジはどんなときに効果があるのでしょうかという問いに対して2頁弱に渡って丁寧な回答がしてあるというふうに,端的にいえばサッカー指導の教科書である。
内容が陳腐化していることと教科書にありがちな柔軟性の無さが欠点だが,それはそれで信頼できる良書。良い悪いにかかわらず手元に備えなければならない?一書。

4XX ★★ フットサル入門
(1) 六川 則夫(サッカージャーナリスト,フットサルフリーク)
(2) 株式会社講談社
(3) 1965年7月31日初版
(4) 1500円
(5) ISBN4-06-207561-X C8075
フットサルのルール,技術,戦術を柱にフットサルの楽しさをアピールした啓蒙書。
小中学生でも楽に読める。フットサルに興味のある人は是非読んでほしい。
味方ゴール前,中盤,敵ゴール前とフォーメーションが変化するのは当然といえばそれまでだが新鮮な驚きがあった。


トレーニング    /TOP/END/

501 ★★★ スーパー・ストレッチング
(1) ジョゼ・オスカー(元ブラジル代表,日産サッカー部監督)
(2) 株式会社ソニー・マガジンズ
(3) 1990年3月20日初版
(4) 1000円
(5) ISBN4-7897-0512-9 C0075
1.近代スポーツマンのための必須アイテム21, 2.あらゆるスポーツに対応したフレキシブル・ストレッチング17, 3.日産サッカー部が開発した秘密のウォーミングアップ, 4.サッカー王国ブラジルのスーパー・エクササイズ26の4つの章から構成されている。4章のスーパー・エクササイズはいわゆるブラジル体操である。
ウォーミングアップとクーリングダウンの重要性は言うまでもないが,その割にキチンとした書籍はなかった。本書は写真と図だけで構成されたストレッチングとブラジル体操の専門書であり,自習書としても耐えうる良書である。
ただ,詳細に画いているがブラジル体操はやっぱりビデオを見なければ真髄である?リズムが解らない。ビデオとの併用を薦める(本書をもとにしたビデオはない)。中高校生以上。

531 ●● 続間違いだらけのスポーツトレーニング
(1) 鈴木 正之(名城大学助教授)
(2) 株式会社黎明書房
(3) 1990年9月10日初版
(4) 1700円
(5) ISBN4-654-07527-5 C0075
先日、古タイヤを引いて走っている女子中学生を見かけた。著者はタイヤ引きを苦しいだけで効果のないトレーニングと断定している。著者はくり返し体験主義によるトレーニングの弊害を主にプロ野球選手のトレーニングを事例に説明し、科学トレーニングの必要性を説いている。中学生でも試合中、度々けいれんを起こす選手をよく見かける。これは足の表側に比べて裏側の拮抗筋を鍛えていないための筋力のアンバランスから来ることはわかっているが、いざ指導となると二の足を踏まざるを得ない。とにかく、負荷をかけたトレーニングは慎重にやらなければならないことを教えてくれる本。実践についても科学的に書いてあるが理解するのは難しい。

532 ●● 種目別・筋力トレーニング
(1) 窪田 登(早稲田大学スポーツ科学科教授)
(2) 株式会社大泉書店
(3) 1989年10月20日初版
(4) 1300円
(5) ISBN4-278-04629-4 C0075
筋力トレーニングに多くの著書のある窪田 登(みのる)氏が競技種目別のメニューを付加した自習書。マシンの使用を必要最低限におさえてあり自習書と評価できる面もあるが、他の類書より優れているのかどうか不明。不得意な分野であり、これ以上のコメントは控えたい。

533 ●● ザ・ウェイトトレーニング
(1) 川島 英博(原宿トリムトレーナー主任)
(2) 株式会社日本文芸社
(3) 1990年6月20日初版
(4) 1000円
(5) ISBN4-537-01431-8 C0075
窪田 登(みのる)氏以外の本ということで買い求めたが著者は窪田氏の弟子。師を否定する内容ではないので窪田氏の一冊があれば不用か?。ただ職業がらかマシントレーニングについての記述は多い。これも不得意な分野であり、これ以上のコメントは控えることにする。

601 ★★★ スポーツプレーヤーのためのひとりでできる種目別テーピング入門
(1) 吉村 正(早稲田大学助教授)
(2) 日東書院
(3) 1989年7月20日初版
(4) 980円
(5) ISBN4-528-00220-5 C2375
トレーナを目指す人のための専門書というよりスポーツプレーヤのために、プレーヤ自身が自分でするためのテーピング技術を分かりやすく解説した本と著者がまえがきで述べている。この種の本の命は図と写真だが、良く工夫され、プレーヤ自身が自分でやることに不都合はない。 各運動種目別に傷めやすい部位のテーピング例があり、サッカーでは加藤久氏(元川崎、早稲田大学助教授)が12頁にわたって氏のテーピングに対する考え方もまじえ、足首捻挫予防、膝、大腿部の打撲に対するテーピング例を記述している。
個人あるいはチームの両方に必要な一冊。

611 ★★ 新驚異のスパイラルテープ療法
(1) 田中 信孝(田中整骨院院長)
(2) 株式会社マキノ出版
(3) 1996年3月1日
(4) 820円
(5) T1068401150822
1.走る・投げる・打つ力を向上させる運動の基本・実践・テーピング, 2.筋肉を強化し能力アップをはかるスパイラル運動療法&テーピング, 3.話題のスパイラルテーピングの効果を実証, 4.スパイラルテープ療法の治療所・最新全国リストの4つの章から構成されている。
療法にポイントを置いたスパイラルテープの使用方法を述べたムック。近くの治療所として大竹市の湯船整骨院(08275-7-3488)が紹介されている。

614 ★★ キネシオスポーツテープ
(1) 加瀬 建造(全国キネシオテーピング協会会長)
(2) 株式会社マキノ出版
(3) 1996年1月1日
(4) 820円
(5) T1068401110802
キネシオ・テープは伸縮性のあるテープで基本的に筋肉を伸ばした状態で貼るという。最近、注目をあびているが効果のほどはいかがなものか?けがから身を守るスポーツ・テーピングに対してキネシオ・テーピングはリハビリに効果があるという。中学生に多い腰椎分離症やオスグットシュラッター病に対する処方も示されているが、痛みがひどいときはあくまで練習を休むことが基本だろう。とはいってもキネシオ・テーピングには副作用はなさそうなので治療を早めることに効果があるならためしても良いという気持ちはある。
写真が大きく、充分な量があるので専門家でなくても貼れそうだ。首から足先まで各部位の事例も豊富だからキネシオ・テーピングに興味のある方は購入しても損はない。


本その他    /TOP/END/

701 ★★★ サッカー競技規則1996
(1) 財団法人日本サッカー協会
(2) 財団法人日本サッカー協会
(3) 1996年7月1日発行
(4) 500円送料別
(5) TEL 03−3476−2011 問い合わせ
年1度協会から発行される競技規則。97年7月に大幅な改正がある?ので今回の改正はごく僅か。
競技規則とそれ以上ある協会決定事項と公式決定事項、指示、追加指示及び図解等々充分読みではある。表現は易しいし、何より競技規則の全てがここにある。競技規則を知らなくてもサッカーはできる。だれかの指示に従えば良いのだから。しかし、楽しみたいならやっぱり競技規則を知らなければと思わせる一冊。
フットサルの競技規則は別に求めなければならない。

711 ★★ わかりやすいサッカーのルール
(1) 安田 一男・上野 俊幸(日本サッカー協会審判委員会委員)
(2) 成美堂出版
(3) 1991年5月20日改訂版
(4) ?円
(5) ISBN4-415-00339-7
成美堂出版のスポーツシリーズの一冊である。106x151x11mmのポッケットサイズで携行に便利である。小さいが17条全てと審判方法についての解説してある。競技規則は毎年少しずつ変更があるので常に最新版を入手するのが望ましいが,基本は変わらないので4〜5年前ぐらいなら充分に実用になる。
特にこの本が優れているわけではない?がポッケットサイズということで紹介した。競技者は審判にクレームをつける前に是非購入を。中高校生以上。

801 ★★ ジーコのリーダ論
(1) ジーコ(元ブラジル代表,鹿島アントラーズ)広瀬マミ訳
(2) 株式会社ごま書房
(3) 1993年12月30日初版
(4) 1300円
(5) ISBN4-321-17034-1 C0034
Jリーグ初年度前期,優勝したのは大方の予想を裏切ってほとんど実績のなかった鹿島アントラーズだった。本書はその中心的役割を果たしたジーコの組織論でスポーツ組織だけでなくビジネス組織を対象にした一般的な書き方になっている。しかし,選手の育成あるいは用兵について具体的な例で示すなどサッカー指導者のみならず選手にとっても読み応えのある内容になっている。
高校生以上。ビジネスマンでも。

802 ★★★ 潜在能力をひきだすコーチングの技術
(1) ジョン・ホイットモア(インアー・ゲーム社代表)
(2) 日本能率協会マネージメントセンター
(3) 1995年1月10日
(4) 1500円
(5) ISBN4-8207-1079-6 C2034
著者は一時流行ったインナー(心理?)・ゲームをひきあいに出し、コーチングとは「ある人間が最大限の成績を上げる潜在能力を開放することで、それはその人に教えるのではなく、その人が自ら学ぶのを助けることにほかならない。」と定義し、実践手法として「命令しないで質問しろ」といっています。
「質問しろ」という手法は私には新しく思えた。特にトレーニーとコーチの会話によるコーチングの事例は本文よりもわかりやすく、その部分(4例ある)だけ読んでも、この本を読んだことになるほどだ。コーチングの壁に突き当たったと感じている人に是非。

901 ★★★ ローマ人の物語Uハンニバル戦記
(1) 塩野 七生
(2) 新潮社
(3) 1993年8月7日
(4) 2600円
(5) ISBN4-10-309611-X C0322
古代最大の戦闘であるポエニ戦争と二人の偉大な戦術家ハンニバル及びスキピオを描いたこの巻はローマ人の物語4巻(96年8月現在)の中で最も多く戦闘にふれている。
戦術とは何か。指導者の条件とは何か。知力ではギリシャ人に,経済力や軍事力ではカルタゴ人に劣っていたローマ人がなぜ古代最大の帝国になりえたか。小難しいことをいってもいわなくても楽しめる書。余裕があれば4巻全て読むことを薦める。

999 ★★★ サッカー(スポーツ入門双書5)
(1) 竹腰重丸・浅見俊雄・田中純二
(2) 株式会社ベースボール・マガジン社
(3) 1960年6月30日第1版
(4) 1010円(1978年5月31日第1版第21刷)
(5) ISBN4-583-01157-1 C2375
60年代初め一般的なサッカー専門書はこれしかなかった。A5版142頁あまりの冊子であるがその果たした役割は計り知れない。今読み返してみてもそれほど違和感を感じないのは懐かしさが判断を狂わしてだけではあるまい。キックの一般的原則として1番目にあげているのが助走は小さな姿勢で小またで行う。大またになると,うまくボールにあわせてふみこむことができない。であり,現在でも立派に通用する理論である。
85年以後,本屋でも目にしなくなったので絶版になったのだろう。サッカーに関係した本を紹介するにあたって価値は失っても日本サッカー界の金字塔?としての本書を無視するわけにはいかない。
だれが何といっても文句なしの3つ星である。高校生以上。


雑誌    /TOP/END/

901 ★★★ J,F.A news
(1) (財)日本サッカー協会機関紙「J,F.A news」編集部
(2) (財)日本サッカー協会
(3) 1995年8月No.134
(4) 450円(95年価格)
(5)
月刊。(財)日本サッカー協会の機関紙。登録チームには自動的に1部配布される。
協会が行う各種の活動・事業の報告、各委員会などからの報告、サッカー競技に関する連載などの記事がある。50頁弱のグラフィックマガジンで宣伝も結構あるから短時間で読める(眺められる)が内容は悪くない。各種大会の詳細な記録も興味深いが短期連載される技術トレーニングの紹介記事が気にいっている。目にする機会がなければ個人購読を薦める。
個人購読年間購読料5000円(送料込み)郵便為替口座:00190-2-27461現金書留でも可
詳細は(財)日本サッカー協会広報部へ TEL 03-3476-2011/FAX 03-3476-2291

911 ★★★ 月刊サッカークリニック
(2) 株式会社ベースボール・マガジン社
(3) 1994年11月創刊
(4) 700円(創刊号価格)
(5) T1004129110700
選手と指導者のための本格的サッカー技術専門誌。
よそのチームがどんな練習をやっているのか知りたいというニーズに応えた雑誌。全日本からジュニアチームまで幅広くトレーニング状況を紹介している。
96年8月現在,チーム紹介もひとまわりしてきたので方向転換するかもしれない。

921 ★★ 年刊最新サッカー技術百科93
(1) ストライカー特別編集
(2) 学習研究社
(3) 1993年5月創刊?
(4) 1950円(93年号価格)
(5) T1062618591959(93年号)
年刊。ムック。毎年名称が変わるがサッカーと百科だけは変わらない。戦術についても少しはふれているが,中心は個人技術のテーチングでJリーグの選手が簡単なテーマに回答するという形式をとっている。DFラインの裏へ出されたボールの処理について元清水エスパルスの内藤直樹選手が図と写真を使ってテーチングするなどが代表的な例である。
選手のパーソナリティを前面に出しているので従来の技術書にない大胆な発想もあり,技術面で迷いがあるとき手元にあると役立つ本である。
中高校生対象。技術書だから毎年購入する必要はないが1冊はほしい。


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